紀元前には秦【しん】の始皇帝【しこうてい】が不老不死の仙薬を求めて、徐福【じょふく】を東海の蓬莱山【ほうらいさん】に男女の子供を含めた3,000人の伴をつけて派遣した話は有名です。蓬莱山は富士山だと言う説もあります。
徐福は不老不死の薬を見つけることが出来ず、最終的には日本に住みついたと言う伝説が日本各地に残っています。その一つに熊野説があります。新宮市には徐福の塚や蓬莱と言う地名も残っています。
熊野は山海の幸に恵まれた神秘的なところで、興味をかきたてますね。徐福は、将来日本が世界一の長寿国になることを予測したのでしょう。
また日本では、垂仁【すいにん】天皇が常世【とこよ】の国(人が永遠の生命を保つ国)に香菓【こうか】を求めて田道間守【たじまもり】を派遣しました。田道間守が香菓を持って帰国した時には、天皇はすでに崩御【ほうぎょ】されておりました。殉死した田道間守は、奈良の左保路【さほじ】にある垂仁天皇稜【すいにんてんのうりょう】の脇に葬られています。私どものロマンを誘う伝説と思います。彼が持ち帰った香菓の一つが橘と言われています。今はミカンの台木に使われていますが、食用の柑橘類だったように思えます。
長寿の郷【さと】と言われるところは、その秘密を探ろうと昔から注目されてきました。
100年前には、ノーベル生理・医学賞を授けられたメチニコフ博士はブルガリアの長寿村について調査し、ヨーグルト長寿説を唱えました。ヨーグルトは大きなブームとなりましたが、このヨーグルト菌は、住人の腸内には常在しないことが分かりブームは消えました。
その後乳酸菌の持つ免疫増強力などが明らかにされ、博士の考えは裏付けされつつあると思われます。
(健康豆知識「C型肝炎と乳酸菌」をご参照ください。)
長寿の郷として有名なコーカサス、ビルカバンバ、それに沖縄の三つについて、近代の目で再調査された家森幸男【やもりゆきお】先生の調査結果を核としてご紹介したいと思います。
(「長寿の秘密」KK法研、1995.10.1)
しかし沖縄を除いては、年齢を含めて人口統計に心もとない点があることを付記しておきます。
またここでは食生活が中心となっていますので、精神的な面を少し追加しておきます。
昔から笑は不老長寿の妙薬と言われてきました。
日本人はテレビに映るきんさん、ぎんさんの無邪気な笑顔に大きな共感を持ちました。
笑いは血行を良くするばかりか免疫力を高めることが解ってきました。
長寿の郷では、きっとお年寄りの笑顔が絶えず、精神的にも安定できる家族や地域の環境が作られていることと思います。
100才以上の方をセンテナリアンと呼びますが、10万人当たりのセンテナリアンの人数を百寿率といいます。コーカサスの百寿率は17と言われています。特に血管の病気が少ないようです。
西欧化された脂肪分の多い食事をとらず、食物繊維やミネラルの多い伝統的食事を続けていることが特に注目されます。
1997年の百寿率は24.6で日本一です。
(県平均:6.8、2位:高知19.4、3位:島根16.9)
豆腐、ゴーヤ(にがうり)、イモが、沖縄県人の三大好物だそうです。
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